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筑紫野 観世音寺

2016/07/30 22:26

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もう、ひと月以上も前の事になってしまいますが、

6月24日は、今は亡き祖母の誕生日でした。

もし生きていれば、今年でちょうど100歳。

祖母は歌人でした。

その祖母が書いた「筑紫野 観世音寺」という随筆を、

7月に入ったある日、 久しぶりに、

ゆったりとした気持ちで読んでみました。


 「もうそこまで春が来ているというのに、冬のままの装いでいる観世音寺が好きである。大野山を背景として、ナンキンハゼの裸木の木立を透かす校倉ふうの宝蔵、そして古いみ堂の甍や鐘楼が、墨絵のように浮かんで見えるのも、そんな季節である。」(註1)

 「私がこの寺にこころ惹かれるのは、寺そのものではない。また古いみ仏たちへの信仰心からでもない。ここにいると、私は、逆に千年の昔から、こちらを見て立っているような気にさせられる。千年という歳月の距離を隔てて自分を客観することにもなるし、すっかり忘れてしまっていた自分自身との邂逅も新鮮である。私はこの枯がれとした草むらに立って、はるかな遥かな時間の倒錯を楽しむわけだ。落葉を踏んで木立の下の細径を歩いているうちに、いつの間にか心がなごむ。私にとって観世音寺とは、こんな寺である。」(註2)


この随筆は、

最初に出版された時(後に井上靖さんの監修で文庫化されたのですが)、

福岡県にある観世音寺の仏像の写真とともに収められていました。

すべて写真家 故・片山摂三先生が撮影されたものです。

祖母の文章も素敵ですが(←身内発言ですみません…笑)、

片山先生のお撮りになった写真が本当に素晴らしいです。



【註 】
(註1)江上栄子 1981: p.68
(註2)同上: p.69

【本文中で引用させて頂いた書籍】
江上栄子 1981:
「筑紫野 観世音寺」 in: 『古寺巡礼 西国 6. 観世音寺』 pp.68-78、淡交社、京都


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